こんばんは。今回のブログは橙延実央がお届けします。
我々、演劇ユニット花色もめんの旗揚げ公演「バビロン・シティ -瓶詰めの不安-」の公演まで、あともう少しです。
そんな中、小山さんが稽古中に言われた一言から感じたことを事細かに、彼の感性で語ってくれていました。
経験豊富で、芝居に関してもとてもお上手な小山さんの心の内側を覗けたような気がしてます。
役者という人間の思考や性質について、本当にわかりやすく読み解くことができるので、ぜひご覧ください。
突然だが、私は駄目な人間だと思う。
私は人間というものに、近しくなることはできていないと思う。
これを読んでいるあなたは、人間が好きですか?
11月5日火曜日、23時53分。
今日も稽古で熱を出して、涙を流して、独り帰路についた。
先述した今回の舞台「バビロン・シティ -瓶詰めの不安-」にて、公表されている通り、私は主演を務めることになった。
毎度のこと、稽古では散々な結果になっては思考を重ね、熱を出し、帰路につく。
この半年間、ずっとその繰り返しだ。
昔からやめるようにと言われることで、
「完璧主義をやめなさい」というものがある。
どんな人間でも、納得できるかできないかということが思考することにおいて大事になってくることだと思う。
前回、小山さんがブログで書いていたように、稽古の中で言われる言葉というのは自分に刺さって抜けなくなることが多い。
自分自身の人間性の話に直結するから、というのも大いにしてあることだ。
私の場合は、「できていない」「成り立っていない」「一貫性がない」など、実力的な部分や技術的な部分においての話をされたときに、理解はできても納得ができないことが多くある。
そういった言葉や事実は、「できていない自分」として私に刺さっては私の中に溶け、刺さっては私の中に溶けていくのだ。
花色もめんという組織の中の雰囲気や、役者である私として、主役に選んでもらっているからには、と真っ白な脳みその上に浮かび上がってくる思考。
私ができていなければメンバーにもお客様にも失礼だし、作品を完成に近づけていく流れで皆のノイズになってしまう。
ただ単純に「できないのが恥ずかしいだけだろ」と思う方もいるだろう。
プライドの高さは確かにあるが、そんなことを考えている余裕などなく、無情にも時は進んでいくのだ。
私は、「完璧ではない自分」にコンプレックスを抱くと同時に、「私より出来上がっている人間たち」にコンプレックスを抱いている。
これも昔から言われていた言葉。
「自分にできないことをできる人間を簡単にすごいと思うな」
自分が大切なくせに、「自分はできない人間だ」と思い込んでしまうから余計に先述した2つの言葉が、私が私たる所以を破壊しにかかっている。
経験者のメンバー、私にできないことができるメンバー、私が持っていない視点を持つメンバー。
皆、本当に上手いのだ。
物語自体が、「自分の思想」や「自分の存在」に対して強くアプローチがかけられているものだからこそ、余計に私の中でぐるぐるとしてしまう。
役に影響される、というのはよくわからないけれど、私は初めてレイという役に影響されそうになっているのかもしれない。
こんなこと感じていたら、きっとダメなのだろうけど。
今回の作品は、全員が自分のやるべきことの中で、全員が役としてどう存在することによって作品の質を上げていくかということに注力を感じる。
当たり前のことのように感じて、それは意外と難しい。
その存在のグラデーションを、私は主演としてコントロールしなければいけない。
皆さんも予想がつくだろうが、私は察するということが苦手だ。
その中で、どの役者を舞台上でどう活かしていくか、どうお客様に魅せていくか、というものを皆と作り上げていかなければならない。
今、涙を流して「わからない」という言葉で片付けてしまいたくなっている私の課題の1つは、これなのである。
役者としてこれができていないということがどういう意味を指すのか。
そう考えたときに、私はまたもその事実に、それを自覚させる巨大な文字の塊に、脳みそを犯されていくのである。
今回の舞台で、作品が、その中で皆が輝けるように。
作品が、物語が、お客様にとって高度なものに感ぜられるように。
本番まであと一ヶ月を切った今、あともう少し、お待ちいただけたらと思うのです。
ご予約、まだまだお待ちしております。
ご予約はこちらから。
劇場で、全てがどう輝くのか、楽しみにしていてください。
劇場でお待ちしております。
担当者:橙延実央
2003年生まれ、宮城県出身。
2011年、東日本大地震被災直後に劇団四季「ユタと不思議な仲間たち」を観劇し感銘を受け、演劇に興味を持つ。
高校時代に演劇を始め、2019年宮城県高校演劇コンクール東部地区にて大会最優秀賞、中央大会にて優秀賞三席、個人演技賞を受賞。
また、「0から始める演劇プロジェクト」を立ち上げ、演劇経験者や未経験者を集めて作品制作を行う。現在は、関西を中心に役者として活動中。
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