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執筆者の写真橙延実央

2024.1-4

今回のブログは橙延実央が担当します。

1月のブログはセンシティブな内容だったにも関わらず、たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございました。

あの震災から3月で13年が経ちましたね。

ついこの前、新海誠の『すずめの戸締り』という映画を見ました。この映画、私の地元と深いつながりがあって、新海誠さんも私の地元で上映会と舞台挨拶を行なっています。描写的に実家の隣町や母の実家近くを思い出して、過去というものと映画という媒体で初めて向き合うことになりました。

過去と現在と未来、人それぞれに乗り越えるものや向き合わなければならないことがあって、乗り越えたと思っていても封じ込めているだけだったり、見ないようにしているだけだったり、でもそれでもいいし、向き合って見つめられるようになるのだっていい。作中では乗り越えていたけれど、あれはああいう体験があったからで、そんな簡単なことじゃないから。

あの作品を見て罪悪感に苛まれる私だって、きっとまだ乗り越えられてはいないのだと思います。

前回は健吾さんが自分の現在地についてとても胸の奥からの言葉で書いてくれました。

20歳になるというところで本気をテーマに書いてくれていて、私の20歳になりたてのブログを消してしまいたくなるほどしっかりとした記事でした。是非読んで下さい。

さて、今回は、愚痴を書かせてください。

やりたいことというのは、苦しみながらもやはり楽しまなければやっていられないのだと思います。最近はたくさんの人間の話を聞くことが多く、たくさんの人間の人生みたいなのを全てではないけれど感じる時に、ふとそう感じるのです。

私はまだ他のメンバーとは違い出演本数の少ない役者で、日々焦りを感じながらも花色もめんの稽古に参加しています。

大学もあと1年で卒業するという現実の中、舞台をやる授業はもう履修し切ってしまい、私は大学生であるまでに役者として何ができるだろうと考えることが多くなってきました。

最近、演技をしていて楽しいと思うことが少なくなりました。

それが下手くそだからなのか、成長したからなのかはわかりません。

演技って、ただがむしゃらにやったっていいことじゃない。

昔、いろんなやりたいことをやってきて感じたけど、何をやるにしても頭が良くないと大成できないんです。

皆さんご存知のとおり、私はそんなに頭がいい方じゃないし、むしろ頭はめっぽう悪くて。

そのことが要因で、今までは自分の思うがままに演技をしてきました。

自分がやっていて気持ちがいいように、相手との掛け合いも気持ちのいいように、自分の感覚が全てで。

でも、私は天才でも秀才でもない。そして、そんなことばかりやっていても、作品を作る者としては負けなんです。

大学で舞台美術を教えてくれる教授が言っていました。「舞台美術が特に褒められる舞台にしちゃダメなんだ」と。それって、役者もだし、音響もだし、照明もだし、全部そうだと思うのです。作品というのは、役者が表立っているからといえ、役者が1番評価されたら、それは、ある役者からしたら嬉しくて気持ち良くてたまらないかもしれないけど、作品としては負けなんです。

作品をしっかりと理解して、解釈を深めて、話し合ってまた全体で深めていく。

いろいろな人に見てもらって、いろいろな人に相談をして、自分の取る選択肢を取捨選択していく。

でもそれが取ってはいけない選択肢かもしれない、深めた結果が側から見たら破綻しているかもしれない、そんな懸念点とずっと向き合っていく。思うがまま、じゃだめ。

役者というのはそういう生き物なんです。きっと。

演劇やってると、センスが、とかオーラが、とかよく言う人がいるけど、簡単な言葉で片付けられてしまうもんだなといつも思います。

最近の演劇界では、「そのままでいいよ」とか「ありのままの君でいいよ」とかいうことを演出から言われることが多いと思いますけど(個人の感想と独断と偏見です)、周りから何も言われないからといってそのままでいいわけがないし、それをそのままにして出すって、お客さんに失礼じゃないですか。

M-1グランプリ2022にて、ウエストランドさんが◯×クイズのネタをやっていて、その中で「向上心」がないものとして役者が挙げられていましたね。

あの時笑いをもらえたと同時に、すごく納得したんです。自分の感覚のままに演技をしている自分がなぜ上手くなれないのか、なぜプロレベルになれないのか。上には上がいるから、という話は以前ブログで話したけど、それとこれとは別の話で。学生レベルじゃダメなんですよ、結局。

何を持って自分の演技を「プロの演技」だとするのかは正直わからないけど、今の自分が「プロの演技」をできているかと言ったらそうじゃないのは確かなんです。

それって、向上心がないっていうのは、プロレベルになれていないっていうのは、自分に満足していなくても、演技をする上で自分を過信しているからなんですよね。

それに気付いたのは一昨年の年末から去年の春にかけてでした。

それに気付いてから、ちっとも演技が楽しくない。

いらんことばっかり考えて下手くそになったのか、それを考えられるようになったからなのかはわかりません。

演技、どうやったら楽しくなるかな。

誰かが教えてくれたらすっごく楽だけど、正解なんてないこの世界で、この1年ずっと考えながら演技をして、ずっと考えながら答えは出ない。

芸能をやる人間は幸せになったらいけないっていうのはやっぱりこういう部分もあるんだろうなあ、なんて思うけど、思うだけで答えはやっぱり出ないのです。

何を偉そうに、そして何を書きたいねんという感じですけれども。

私はプロになるんです。

演劇界からしたら、無名の演劇ユニット所属のちっぽけな役者かもしれないけど、世間からしたら夢ばっか見てる頭の中お花畑な21歳独身女性かもしれないけど。

活動始めてから、いつになったらお前は活動するんだと思われていると思います。

ちゃんと、今年こそ、私のことを見ていてくれたら、嬉しいです。

いい知らせを皆さんにたくさんお伝えできるように、精進します。

演技が楽しくないとか、役者としてどうなんだと言われるかもしれません。

でも、これが私という役者のリアルです。

趣味だなんて言わないで。まだ子供だなんて言わないで。

私はプロになる人間ですから。


 

担当者:橙延実央



2003年生まれ、宮城県出身。

2011年、東日本大地震被災直後に劇団四季「ユタと不思議な仲間たち」を観劇し感銘を受け、演劇に興味を持つ。

高校時代に演劇を始め、2019年宮城県高校演劇コンクール東部地区にて大会最優秀賞、中央大会にて優秀賞三席、個人演技賞を受賞。

また、「0から始める演劇プロジェクト」を立ち上げ、演劇経験者や未経験者を集めて作品制作を行う。現在は、関西を中心に役者として活動中。

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