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執筆者の写真和泉せんり

花色記録班―探求―

こんにちは。

隔週更新のブログ、今回は和泉せんりがお届けいたします。


以前にも少しお話したかもしれませんが、文章を綴るのって私にとっては、結構むき出しの自分を見せているような感覚がして、何をしている時よりも自分と向き合う時間になっている気がするんですよね。

前回の山本さんのブログでは、演技をする時に欠かせない「自分自身と向き合うということ」について述べられていました。ぜひご一読ください。



さて、今もブログを書くにあたって自分とface to face 状態な私です。するとどうしてもここ最近悩んでることを書いたりとか、こうならなきゃみたいなことを書いたりとかになってしまいがちで、読み返してはちょっと暗すぎない??と思っている次第です。

ですので今般は、私のささやかな幸せについて綴ろうと思います。お付き合いいただければ幸甚に存じます。


さて、前置きとして。皆様、お勉強は好きですか?

学生の頃は、四則計算はまだいいにしても、二次方程式とか、解の公式とか、三平方の定理とか、こんなことを勉強して何になるのかと思っていた方も多いと思います。


かつて私は勉強が結構好きでした。教科書の隅から隅まで眺めたり、解き方を何通りも考えたりするのが楽しかったのを覚えています。地図帳や資料集は、重くても持ち帰って眺めたりしました。授業も、新しい知識を得られると思ってワクワクしました。宿題や復習の時間はあんまり好きではありませんでしたが。


そんな私ですが、学校で悔しい思いをすることもよくありました。特に小学生の時だったように思います。


理科の授業で、単元名は忘れましたが、塩と水の状態変化みたいな勉強していた時だったと思います。こう、食塩水を蒸発させたら塩が残るよね、とか、水の中に塩はどれだけ溶けるのかな、とか、そういうやつです。先生が「塩と水を使った実験をしましょう、どのようなことが気になりますか?実験したいことを発表してください」と仰ったので、私を含め何人ものクラスメイトが手を挙げ、塩と水の状態変化についていくつか疑問点をあげました。2つ3つ上がったところで、クラスメイトみんなの意見は出終わったようで、あげられる手もまばらになりましたが、私は気になることが沢山あったので、あれもこれも実験したいと繰り返し手をあげて発表しました。

先生は私の話を聞いて、黒板に書いてこそくれましたが、実際に私が気になったことについての実験はさせて貰えませんでした。


今考えれば、学習指導要領というものに従っての授業だったんだなとか、私の気になったことを実験するには器具も時間も足りないなとか、いわゆる「大人の事情」があったことはよく分かります。

でも当時の私は、自分の気になったことをスルーされたような、もう少し悪い言い方をすれば軽視されたような気さえしました。


その場にいた私以外の人にとっては、私の持った疑問は「知らなくていいこと」だったらしいのです。

この理科の授業での出来事は一例で、他にもこういったことが幾度となくありました。教科書に書かれていないから質問したのに、その先を教えてくれない。ややもすれば「それは中学生になったら習うから今は覚えなくていいよ」とか言われる。進研ゼミの教材をみても、友達が通っている塾の課題を見ても、私の問に対する答えは無い。当時ネットでの調べ方も知らなかったし、私の問に答えてくれる人はいないのかなと思って、ちょっと悔しい気持ちでした。


ずっと何の話をしてるのかという事なんですけどね。このままだと学生時代の愚痴になってしまうのでそろそろ演劇の話に戻していきたいと思います。


花色もめんの稽古は、まずその戯曲についての理解を深めるところから始まります。各シーンにどんな意味があるのか、背景や見てきたものから形成される人物の性格、力関係、展開…考えることはたくさんあります。そして考えたことを時に話し合ったり相談しながらシーンを作っていきます。

稽古でみんなが考えてきたものを持ち寄って実際に演じるんですが、それがまぁみんな同じだったり違ったりするんです。

同じ本を読んでいるはずなのに、大きく違ったり部分的に違ったり、自分の考えより他の人の考えがしっくりきたり、話し合う中で別の案ができたり。


花色イロイロのインタビュー企画で「あなたにとって花色もめんはどんな場所?」という質問に、山本さんが「実験の場だ」と答えていたように記憶しているのですが、私もその通りだと思います。いや、山本さんの言う「実験」と、私の言う「実験」は少し違うっぽいのでなんとも言えませんが、私はいつも稽古場は実験室みたいやなって思ってます。

みんなそれぞれ違う要素を持ち寄って、変化して反応して刺激しあって、完成に近づくのです。稽古なのでもちろんダメ出しはありますが、学習指導要領はありません。私が経験したような、こっちの方が重要だとか、これより先は知らなくていいとか、そういうのはありません。もちろん全部の実験が成功するわけではありません。新たな視点を得ることで逆にわからなくなったり、できていると思っていたことができなくなったりもします。


それでも私は、実験をさせてもらえることが嬉しいです。頭の中の全部を使って、ひとつの事を考えられることが贅沢だなって思います。まだまだ私の考えが及ばなかったりでできないことの方が多いのですが、それで悩んでいる時の悔しさと、理科の授業で感じた悔しさは全然違って、今の悔しさが如何に心地よいものかわかります。


新しいことを知れるって、考えられるって、意見を聞いたり聞いてもらったりできるって、本当に幸せなんです。

でもわかったら、成長できたら、もっともっと幸せなので、一研究者になったつもりで頑張ります。


 

担当者:和泉せんり



大阪府出身 1999年7月6日生まれ 24歳

アイドルシンガー

幼い頃よりヒップホップを学び、高校時にはミュージカル、演劇、朗読、ラジオドラマなど、幅広い出演経験あり。

また、ラジオドラマ脚本や編集、演劇に使用する美術などを担当することもある。

京都を拠点に活動するアイドルグループのセンターを、グループ結成以来1年半務める。

現在は都市部でのソロ活動や、企画MCもこなす。

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