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執筆者の写真都夏晃太

映画が自分とリンクする時

みなさん、明けましておめでとうございます!

新たな年の始まり、いかがお過ごしでしょうか?

2024年初めてとなる今回のブログは都夏晃太が担当します。

2024年もよろしくお願いいたします。

さて、前回のブログでは健吾くんがお父さんの存在について書いていました。

実生活で感じることのなかった父の存在意義というものを、演劇の役としての経験を通して感じる。演劇というものの持つ力の大きさと、奥深さが垣間見えるお話でした。

まだ読んでいない方はぜひそちらもご覧ください。

今回のブログのテーマですが、映画というものについて書いていこうと思います。

僕個人の感覚的な話になるので、退屈に感じる方もいらっしゃるかと思いますが、ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。

突然ですが、みなさんが映画と聞いて最初に思い浮かべるのはどのような作品でしょうか?

「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」などのスタジオジブリ作品

テレビでよく放送される「E .T.」や「ホームアローン」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などの名作

「スパイダーマン」や「アイアンマン」などのヒーローによるド派手なアクション

などなど、まさに十人十色だと思います。

あくまで個人差はあると思いますが、「映画」というものに対する多くの人の印象は「娯楽」であり、「映画はエンターテインメント」だという認識をされている方が多いのではないでしょうか。

まさしくその通りだと思いますが、ここで一つ考えたいことがあります。

それは、エンターテインメントとしての「映画」の登場人物たちの人生の起伏の大きさです。

エンターテインメントとしての役割を考えた時、その登場人物たちの人生はどうしても派手なものになりがちな気がします。

先に挙げた「千と千尋の神隠し」であれば、引っ越しの途中にトンネルを抜けて神さまたちの国に迷い込んでしまう。

「ホームアローン」であれば、一人で留守番している間に間抜けな二人組が押し入ってくる。

「スパイダーマン」であれば毒蜘蛛に噛まれて特殊な能力を手に入れてしまう。

挙げればキリがありませんが、主人公たちの人生に一大事が起こり、そこから波乱万丈の連続になるわけです。

極端な例を挙げすぎた気もしますが、基本的に映画において主人公たちは、映画というエンターテインメントになるに値するだけの起伏の大きい人生を歩んでいるのです。

起伏の大きい人生は振幅の大きい波形をイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。

それに対して、映画を見る人々の人生について考えてみるとどうでしょうか。神様の国に迷い込んだり、留守番中に強盗に入られたり、特殊能力を持っていたりする人はあまり多くはないと思います。

「市井の人々」と言われるように、日々を懸命に生きている人々の人生は、先に挙げたような例と比べると起伏が小さい人生であることの方が多いのです。

そのような起伏の小さい人生、振幅の小さな波形のような人生の、その小さな波をクロースアップして描くことにこそ、エンターテインメントとしての枠にとどまらない映画の存在価値があると僕は考えます。

派手さのない映画は退屈だ。

そういう意見を聞くと、確かにとも思います。

しかし、映画の主題が些細であればあるほど、余白を楽しめる気がするのです。

余白が大きいからこそ、観る人によって各々好きな見方ができるのです。

なんてことのない日常の中にある、派手ではないが確かに存在する人生の小さな起伏。

映画を通してそのような起伏の小さい人生を自分の人生とパラレルなものとして捉えること。

ただ生きているだけでは経験することのできないような、自分の人生と同じ次元にある何百何千の人生に触れること。

そして、その経験をもとに自分の人生の中にある起伏を自力で見つけ、感じ、自分の中で増幅させて映画よりも楽しい人生を模索すること。

ここにこそ僕は、映画の価値を見出し、魅力を感じ、不思議な力が宿っていると考えています。

説教くさくなってしまいましたが、要するに、ありふれた人生を描いた映画の余白に自分の人生を見出すような、そんな映画の楽しみ方がもっと広がっていくといいなと思っています。

もっともっと書きたいことはありますが、あまり長くなっても良くないのでこの辺にしておきます。

最後に、僕はエンターテインメントとしての映画も大好きですし、それらにももちろん価値があり、魅力があり、力があるとも思っています。

その上で、映画の楽しみ方は人それぞれ、一通りの楽しみ方にこだわる必要もないのだから、

普段派手な映画しか見ないという方も退屈だろうと決めつけずにぜひ色々な映画を色々な見方で見てほしいです。

個人的には、ジム・ジャームッシュ監督の「ナイト・オン・ザ・プラネット」、「スモーク」、「パターソン」がおすすめです。

そして、それらの中にある、「手の届きそうな人生」をヒントに、自分の人生を見つめてみる。そんな映画の楽しみ方をお試しいただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

次回のブログもお楽しみに!


 

担当者:都夏晃太



東京都出身。2002年5月31日生まれ。

京都大学在学中、専攻は臨床心理学。

小さい頃から映画やテレビドラマが好きで、大学入学後に地元下北沢で見た舞台演劇の演出の豊かさやエネルギーに魅了され、役者を志す。

趣味はサッカー観戦、読書、音楽を聴くこと。

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