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執筆者の写真山本善之

8回目 仕事の話

更新日:5月26日

さて、花粉症と黄砂の季節となりましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか?

僕は3月末にインフルエンザをやりまして、喉がやられ生まれて始めて舞台を降板するというやらかしをいたしまして、本当に穴があったら入りたい。お恥ずかしい限りでございます。体調面は気にはかけていますが、もう若さで乗り切れない年齢に差し掛かってきたのだと痛感いたしました。


前回は実央が今の自分の現在地についてリアルに書いていましたね。是非是非ご一読下さい。


さて、それに触発されたわけでもないのですが僕は今回「仕事」について書きたいと思います。少し偉そうなことを書くかもしれませんので、お気を悪くされる方がいらっしゃったらすみません。若造の戯言だと思ってゆるしてください。


さて、現在この国で演劇というものに携わってる演劇人を名乗る人々は、ほとんどが素人です。異論はあるとおもいます。が、僕はそう思います。ご飯が食べられるくらいの収入が舞台で持ててない人間は総じて素人です。これは揺るぎがない前提だとおもいます。

が、しかしそれと同時に「食べられていたら玄人なのか?」ともおもいます。


それは演劇の種類によってそこに回っているお金の数が露骨に違うからです。昔、事務所に入ったらプロなのか?でかい舞台にたったら売れたのか?みたいな事を書きましたが、概ね同じ様な話です。


僕はありがたいことに高校生以来バイトというものとは無縁の生活を送ることが出来ています。それは僕自身、この14年間くらいですかね、舞台のギャランティのみで生活がおくれているからです。運が良いなとおもいます。


しかし周りを見渡すとそんなに恵まれてる人間ばかりではありません。残念な事にこの国では演劇と呼ばれるものは興行として成り立っていないのです。殆どの大きな企画は補助金や助成金に依存し、小さな企画は役者達の持ち出しに依存しています。そしてこれが搾取の温床になっています。その現状を知らない若手達はありもしない夢に陶酔して、当たり前のようにチケットノルマを課され、身内にチケットを売り捌き、僅かなチケットバックをもらいます。これで若手を育てるとよく言うなぁと思うことは多々あります。


結局興行としてなりたっていないということがすべてで、そこが歪んでいる大元だとおもいます。

そもそもこの国で一番成功してる興行はNPB(日本プロ野球機構)だと僕は思っています。彼らは1年の半年間ほぼ毎日日本の何処かの都市で6試合興行を行ってそのどれもが2万人〜4万人を集客し、どこかの局がその放映権を買っていて、スポンサーも引く手数多についています。だからあれほどの高額な年俸が貰えるのです。日本のどんなタレントでもこの様な興行はうてません。仕事柄、国の補助金事業や企業の助成金事業に携わりますと、スポーツと芸術が一緒の枠組みにされていますから、本当によくわかります。殆ど太刀打ちできない現状です。だから殆どのタレントは自ら興行をうたず、テレビのようなメディア媒体に依存するのです。メディア媒体は広告料という収入源をもっていますので、タレント価値や作品価値とは全く異なる電波によって商品を宣伝できる価値というものでお金を集めています。これは作品やタレントの商品価値とは全く別です。しかしお金=人間の価値と誤認しやすい現代の資本主義社会では、その誤認がまかり通ってしまいます。一番わかりやすくそれが垣間見れるのがYoutuberです。


役者で食べていきたい、舞台で食べていきたいと言ってる人達はそういう本当の意味での価値を持つ気で今向き合ってるのか?と常々おもいます。

まぁ、結局何がいいたいかと言うと、僕は企画者でもあり、役者でもあるのでどちらの気持ちもわかります。雇う側も雇われる側もやってますので。(今回は随分役者に寄り添って書きましたが)ただ、今から役者を目指す人達には知っておいてほしことは


1 演技をするということは僕たちにとって労働であるということ。


2 チケットバックはギャランティではないということ。


この2つです。その認識だけはちゃんと持ったうえで、企画とお付き合いをするべきだとおもいます。


自分を本当に大切にしてくれる企画者は必ずお金をあなたに払います。払わないということはそういうことだとおもっていいと思います。


仕事にするということはこういう事をちゃんと考える所からはじまります。そういう演劇人が日本にもっと増えることを願っています。


 

担当者:山本善之



奈良県出身。1992年10月15日生まれ。

大蔵流能楽師狂言方 戯曲家 演出家 役者6歳の頃四世茂山忠三郎倖一に師事、現在は五世茂山忠三郎良暢に師事。二十歳で「千載」を披く。

舞台を中心に能狂言問わず様々な公演にて活動中。

主な出演作品は、狂言風オペラ「フィガロの結婚」(ケルビーノ/蘭丸役)演 藤田六朗兵衛、「繻子の靴」(国王役 他)演 渡邊守章 等

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